猫崎半島・竹野海岸

猫崎半島は兵庫県最北端にあり、沖から見ると猫がうずくまっているように見えますが、東西の海岸道路から見るとキューピー人形が仰向けになっているようにも見えます。竹野海岸の岬や半島には波で削られた急な崖や岩場が広がっています。
一方、竹野浜や弁天浜などの入り江には、砂浜が広がり、海水浴場となっています。
現在は竹野川の河口は漁港となっていますが、江戸時代には嵐を避ける北前船の風待ち港でもありました。猫崎半島の東側は北西季節風の陰になり、暴風を避けることができます。
岸壁の岩場には、北前船を繋いだ岩石にいくつか穴があけられています。猫崎半島は陸続きの半島ではなく、賀島という島だったのですが、竹野川から運ばれた砂が波や海流の影響で集まり陸続きになったのです。
現在は水のきれいな海水浴場として全国の「渚百選」にも選ばれています。
猫崎半島西側の海岸一帯は日本海の荒波で削られた波食棚になっています。
波食棚の上には、さらに波と礫により削られた甌穴(ポットホール)群が点在しています。ここの甌穴は兵庫県の天然記念物に指定されて直径が30 ~ 50cmのものが多いようですが、切浜海岸の北にある甌穴は直径が5m近くもある大きなものもあります。
海面付近にある直径2~5cmの穴は甌穴ではなく、穿孔貝(イガイやカモメガイなど)によって岩場に削られてできた穴です。甌穴は垂直方向の穴ですが、貝の生活痕の穴は水平方向のものが多いようです。
海岸の波食棚の上にはゾウ・シカ・イノシシなどの足跡が残っています。近くからゾウの歯が発見され、ステゴロフォドンという約2,000 万年前のアジア大陸に生息していた種類であることがわかりました。
また、タニシやコイ・レンギョの咽頭歯も見つかっています。太古の竹野は大陸の一部で、まだ日本海がなかった頃に、大きな湖沼があった証拠となります。猫崎半島西海岸を北に行くと、水平方向に重なった礎岩・砂岩・泥岩などの地層の上に、垂直方向に伸びた割れ目がある岩石ふぁ重なっています。今から1800万年前ごろの水中にたまってできた地層が隆起し、約300万年前ごろになって、その上に溶岩が流れてできたものと考えられています。
ここで見られる岩石は流紋岩という岩石です。地層ができるときに作られた構造がたくさん見られます。

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